これまでの活動を通じ、中村さんはアップサイクルについて、条件を狭められていることが、逆に可能性を拡げていると捉えている。どんなことからも、どんな環境でもヒントを得て、相乗効果を生み出す。それは中村さんが大きなインスピレーションを受けたともいう、手塚俊一さんのように。
彼は、アングラ劇団を手がけるようになってから有名になり、ジャンクアートの騎士と呼ばれた昭和後期の舞台美術家である。金銭的に余裕がなく、廃材置き場から障子や冷蔵庫などを組み立てセットを組んでいた。そんな手塚さんを尊敬する中村さんは、「考え方によってはこっちの方が楽しくて、賑やかで、華やか。そんな風にできたらいいなと思う」と語る。
更に、同じようなサーキュラーエコノミーでも、地域や人によってもアウトプットが異なることに注目。例えば東京と大阪で同じようなことをしていても、それによって集まってくる人や物、形になるものが変わってくるように。何かに縛られず色々な知恵を出し合うことで、今後更に面白い発想が出てくるのだ。
ハードルは高くなくて良い、もっと身近なもの。アップサイクルの取り組みは、沢山のサイクルを創り出す可能性があって、一人ひとりの想像とそこにある環境によって、より豊かな創造性を生み出していける。
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