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事業を成功させる「〇〇主義」

フィーチャーゲストのご紹介

株式会社ファストコムホールディングス

代表取締役社長 小林栄治様

更に小林さんは、好きなことを追求していく中で、事業としての社会性はもちろん、そこにしっかりと利益がある状態を作っていき、持続可能な好循環を生むということを強く意識している。その成功体験の1つとして『ニッポン手仕事図鑑』がある。

職人さんが減っている中で、日本の伝統技術や伝統産業を伝承していくため、同じくそう考える行政や大手企業にしっかりと年間単位で予算を立ててもらい、困っている職人さんからは一銭も取らないポリシーのもと、仲介的な位置を担うことで日本の伝統を守っていく事業である。10年かけて作り上げてきたこのニッポン手仕事図鑑、はじめの数年間はロイヤリティがなく苦しい時期もあった。こういった活動をするボランティア団体も生まれては消えを繰り返している中、とにかく活動を継続してきた結果、現在ではソーシャル事業者として利益を生み出しながら、職人や工房の課題解決を実現している。

後継者不足の工房に対して、比較的若い世代のインターンシップを入れるという事業を提案している。その数は累計で42工房以上に上る(2024年2月時点)。若い世代のインターンシップはこれまで1,300人を超える応募があり、うち60名は内定まで辿り着けた。職人に対して興味を持つ若者が少ないイメージがあるが、この数からは、実際はマッチングができていなかったということが分かる。

株式会社ファストコムとして立ち上げる前は、WEBマーケティング会社の役員だった小林さん。20代で経営の考えも身につけたが、CS部門を担当していたため、「クライアント主義で、現場主義でありたい」と、お客様の本当のニーズを常に大切にしていて、その頃からそんな気持ちを応援してくれるパートナーたちもいた。

会社を立ち上げた時から、現場主義の想いで、アパレル、家具、雑貨の物販でコンサルと販売代行を始めた。人材を増やすお手伝いや、シフトを組んだりという運営も行った。この販売代行は多い時で、15店舗、在籍スタッフは70名にも上った。

現在このサービスは行っていないものの、小林さんは「ファストコムホールディングスの経営理念に通ずるインプット事業をしていた」と振り返る。現場の人がどんな想いを抱えて働いているのかを経営する側が把握することによって、現場のスタッフが熱量を持ってお客様に伝えられるるサービスができ、お客様のニーズも反映され、より良い商品作りもできるようになるのではないかと気づいたからだ。

小林さんが現場主義で取り組み、得られた成果こそが、「社員のやりたいと、社会の欲しいを両思いにする」という理念の実現に向け培ってきた、現在のファストコムホールディングスさんのサービス展開の原点でもある。

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